ロードス島戦記 ファリスの聖女

6月に完全版が出るということで、ロードス島伝説のコミカライズ「ロードス島戦記 ファリスの聖女」を今回は紹介していきます。

ロードス島戦記―ファリスの聖女 (1) (ニュータイプ100%コミックス)

ロードス島戦記―ファリスの聖女 (1) (ニュータイプ100%コミックス)

 
ロードス島戦記―ファリスの聖女 (2) (ニュータイプ100%コミックス)

ロードス島戦記―ファリスの聖女 (2) (ニュータイプ100%コミックス)

 

 

ロードス島戦記以前の出来事である魔神戦争を描いた「ロードス島伝説」を、ベルドとフラウスに焦点を当てて、山田章博によって描かれたコミカライズです。

でも、何で、10年も経った今、完全版を出すの?と思う人も多いかも。

しかし、この作品は、どんな理由であれ、たとえ10年後であっても、完全版が出ることに価値があると思えてしまう、そんな1冊です。

それは、ロードス島戦記だからという訳でもなく、その絵の美しさです。それに尽きる作品だからです。山田章博の絵と作品の内容がマッチすることで、私が知る中でもっとも美しい漫画になっています。

10年経っても、これを超える美しい漫画は皆無で、漫画というカテゴリーにあることが、そもそも違うんじゃないかと思えるほど。作品の雰囲気からすると、絵で描かれた叙事詩と言った方がしっくりくるかもしれません。

完全版はサイズが大きくなり、別冊でイラスト集がつくうれしい仕様で、高くてもその価値はある内容みたいです。

・・・それにしても、ロードス島戦記三昧とは何だったのかと思うほどのまともさですね。

スレイヤーズ 25周年あんそろじー

スレイヤーズ刊行25周年を記念して作られたアンソロジー「スレイヤーズ 25周年あんそろじー」の感想です。

 

さてさて、今回の内容は。

良くも悪くもアンソロジー。

でも、流石のスレイヤーズ。普通のアンソロジーじゃあ終わらない。

設定なんてどこ吹く風、プレオーフェンかと思いきや、原作者いじりの私信を書く秋田。

そして、前代未聞、大胆不敵。まさかのあとがきをアンソロジー、橘。

アンソロジーでも暴れちゃうぞ!

 

・・・という感じに、暴れすぎなアンソロジーが2つあるくらいで、他は至って普通のアンソロジーです。ただ、やっぱり、長年続いた作品だけあり、キャラクターの持つ魅力はすごいなーと、改めて感じてしまいます。

 

耳刈ネルリ

耳刈ネルリは、石川博品による「耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳」、「耳刈ネルリと奪われた七人の花婿」、「耳刈ネルリと十一人の一年十一組」の全3巻の作品である。1巻のタイトルからもわかるように、ラノベの中でも色物の作品である。

耳刈ネルリと十一人の一年十一組 (ファミ通文庫)

耳刈ネルリと十一人の一年十一組 (ファミ通文庫)

 

 

しかも、色物の中でも色物であり、出落ち作品だったり、痛々しい電波な作品という意味での色物ではない。ライトノベルでありながら、ロシア文学特有の暗い雰囲気を全体に落としている。何を勘違いしたのか、ライトノベルで純文学を描いたかのような、エセ文学的な作品である。これだけでも、人を選びそうなのに、下ネタ好きな作者のため、主人公の会話に下ネタが多く、人を選ぶことこの上ない作品となってしまっている。

また、2巻においては何を勘違いしたのか、とんでもない事をやり遂げている。普通は学芸会で演劇のシーンを描くにしても、一部分だけを行ったり、そもそも演劇の内容を描くことはない。しかし、石川博品である。当然描く。物語よりも演劇の内容がメインだと言わんばかりに、本の3分の1くらいを使って描いている。後書きも、悪く言えば、何かを勘違いしたかのような、作家ぶった後書きである。

しかし、このエセ文学チックで、純文学を下地として物語を書くのが、石川博品の特徴であるし、作品全体から感じられる文学チックな雰囲気こそが魅力でもある。間違いなくライトノベルとして色物ではあるが、一度は読んでみてもいい色物だと思う。

ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom

ブギーポップのTVアニメとして、非常に評判の悪い「ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom」を紹介したい。確かに、設定を変更した上でのオリジナルストーリーをやった挙句、人物の見分けが困難な作画であったり、暗すぎる上に、1回見ただけでは到底理解できない内容と ブギーポップのアニメ化とは到底呼びがたい作品である。

しかし、ブギーポップは笑わない TVシリーズシナリオ集」を一度読んでほしい。何故なら、同時にブギーポップファンからは、原作以上に「ブギーポップは笑わない」をしていると、非常に評価が高い作品である。そして何より、オリジナルストーリーをするなら、こうあるべきだという作品でもあり、紹介するに値する作品だと思う。

続きを読む

「ブギーポップは笑わない」と上遠野浩平

言うまでもなく、「ブギーポップは笑わない」は電撃文庫だけに留まらず、ライトノベルの方向性にも影響を与えた作品である。しかし、最近では、感想は書かれても、ブログで紹介しようとすることは少ないため、最初の記事でもあるし取り上げてみた。

 

ブギーポップは笑わない (電撃文庫 (0231))

ブギーポップは笑わない (電撃文庫 (0231))

 

 

上遠野浩平

ラノベの世界のリアル「霧間誠一」とも言うべき、著者の上遠野浩平について、先に触れておく。そもそも「霧間誠一」とは作中の人物であり、彼の著書を読んだ人の中から、能力に目覚めた人が多く生まれたため、彼の著書には人を目覚めさせる何かがあるとされた。現実の著者自身も、この業界において、多くの人を目覚めさせ、方向性を決めてしまった人物であり、人によっては本当に、上遠野浩平とはリアル「霧間誠一」なのである。

続きを読む