魔術士オーフェンはぐれ旅 新シリーズ

魔術士オーフェンはぐれ旅」が「我が聖域に開け扉」で完結してから、5年後に開始された「魔術士オーフェンはぐれ旅」の続編となる新シリーズを紹介したい。とは言っても、一度完結したシリーズを再び始めることには、あまりいいイメージを持っていない人も多いとは思う。確かに、あそこで終わっておけば・・・という作品も少なくはない。この新シリーズだって、前シリーズと同じじゃあない。舞台もキエサルヒマの外の大陸に移っているし、ドラゴン種族はもういない。戦闘もインフレ気味でもある。オーフェンも年をとり、子供だっている。あの魔人プルートーだって老いた。一番割りを食ったのはマジクで、前シリーズの結果から生まれた内戦や原大陸での戦いのせいで、やさぐれてしまっている。

それでも、新シリーズは「魔術士オーフェンはぐれ旅」が好きだった人に読んでもらいたいシリーズでもある。なぜなら、前シリーズの解説を兼ねているからである。オーフェンの足跡は辿りやすいが、本当は何が起きていたのか、意外とわかりにくかったシリーズではないだろうか?「我が聖域に開け扉」で起動した第二世界図塔は何だったのか。アザリーの足跡と聖域崩壊を巡るチャイルドマン教室メンバーの行動・・・もしコルゴンにロリコンくらいのイメージしかないのであれば、悲しいことだ。そのあたりが、わかりやすく説明されている。

 もちろん、前シリーズがわかるだけじゃない。新しい楽しみもある。はぐれ旅と無謀編両方のメンバーが登場するのはもちろんのこと、世界観の多くが・・・この世界や魔術の実態、少しだけ名前の出ていたケシオン・ヴァンパイアについても語られる。魔王スウェーデンボリーも出てくる。そして、マジクの成長した姿が見れる。あのマジクが世界最高の魔術士になっている。魔術に関してはオーフェンをも凌ぎ、魔術で高速で飛行し続けながら、魔術を使い周囲一帯を消し飛ばしていく等、前シリーズの黒魔術では考えられない次元まで到達している。もっとも、割を食う人物であることには変わりはないのだが。 他にもいろいろあるが、前シリーズが好きだった人なら、楽しめる要素の多い作品だと思う。