スレイヤーズ 25周年あんそろじー

スレイヤーズ刊行25周年を記念して作られたアンソロジー「スレイヤーズ 25周年あんそろじー」の感想です。

 

さてさて、今回の内容は。

良くも悪くもアンソロジー。

でも、流石のスレイヤーズ。普通のアンソロジーじゃあ終わらない。

設定なんてどこ吹く風、プレオーフェンかと思いきや、原作者いじりの私信を書く秋田。

そして、前代未聞、大胆不敵。まさかのあとがきをアンソロジー、橘。

アンソロジーでも暴れちゃうぞ!

 

・・・という感じに、暴れすぎなアンソロジーが2つあるくらいで、他は至って普通のアンソロジーです。ただ、やっぱり、長年続いた作品だけあり、キャラクターの持つ魅力はすごいなーと、改めて感じてしまいます。

 

耳刈ネルリ

耳刈ネルリは、石川博品による「耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳」、「耳刈ネルリと奪われた七人の花婿」、「耳刈ネルリと十一人の一年十一組」の全3巻の作品である。1巻のタイトルからもわかるように、ラノベの中でも色物の作品である。

耳刈ネルリと十一人の一年十一組 (ファミ通文庫)

耳刈ネルリと十一人の一年十一組 (ファミ通文庫)

 

 

しかも、色物の中でも色物であり、出落ち作品だったり、痛々しい電波な作品という意味での色物ではない。ライトノベルでありながら、ロシア文学特有の暗い雰囲気を全体に落としている。何を勘違いしたのか、ライトノベルで純文学を描いたかのような、エセ文学的な作品である。これだけでも、人を選びそうなのに、下ネタ好きな作者のため、主人公の会話に下ネタが多く、人を選ぶことこの上ない作品となってしまっている。

また、2巻においては何を勘違いしたのか、とんでもない事をやり遂げている。普通は学芸会で演劇のシーンを描くにしても、一部分だけを行ったり、そもそも演劇の内容を描くことはない。しかし、石川博品である。当然描く。物語よりも演劇の内容がメインだと言わんばかりに、本の3分の1くらいを使って描いている。後書きも、悪く言えば、何かを勘違いしたかのような、作家ぶった後書きである。

しかし、このエセ文学チックで、純文学を下地として物語を書くのが、石川博品の特徴であるし、作品全体から感じられる文学チックな雰囲気こそが魅力でもある。間違いなくライトノベルとして色物ではあるが、一度は読んでみてもいい色物だと思う。

ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom

ブギーポップのTVアニメとして、非常に評判の悪い「ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom」を紹介したい。確かに、設定を変更した上でのオリジナルストーリーをやった挙句、人物の見分けが困難な作画であったり、暗すぎる上に、1回見ただけでは到底理解できない内容と ブギーポップのアニメ化とは到底呼びがたい作品である。

しかし、ブギーポップは笑わない TVシリーズシナリオ集」を一度読んでほしい。何故なら、同時にブギーポップファンからは、原作以上に「ブギーポップは笑わない」をしていると、非常に評価が高い作品である。そして何より、オリジナルストーリーをするなら、こうあるべきだという作品でもあり、紹介するに値する作品だと思う。

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「ブギーポップは笑わない」と上遠野浩平

言うまでもなく、「ブギーポップは笑わない」は電撃文庫だけに留まらず、ライトノベルの方向性にも影響を与えた作品である。しかし、最近では、感想は書かれても、ブログで紹介しようとすることは少ないため、最初の記事でもあるし取り上げてみた。

 

ブギーポップは笑わない (電撃文庫 (0231))

ブギーポップは笑わない (電撃文庫 (0231))

 

 

上遠野浩平

ラノベの世界のリアル「霧間誠一」とも言うべき、著者の上遠野浩平について、先に触れておく。そもそも「霧間誠一」とは作中の人物であり、彼の著書を読んだ人の中から、能力に目覚めた人が多く生まれたため、彼の著書には人を目覚めさせる何かがあるとされた。現実の著者自身も、この業界において、多くの人を目覚めさせ、方向性を決めてしまった人物であり、人によっては本当に、上遠野浩平とはリアル「霧間誠一」なのである。

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